フッ素樹脂の特性の一つに、非接着性が挙げられます。フッ素樹脂は表面がつるつると滑るような質感で、接着性が低い樹脂です。しかし、昨今ではフッ素樹脂と他の物質を接合する技術開発が進んでおり、通信や半導体技術、産業機器などさまざまな分野で問題が解決されるといわれています。ここでは、フッ素樹脂の接着性を高める加工について紹介します。
フッ素樹脂は、表面エネルギーが低いという特性上、接着性が低い素材です。水の付着を例にすると、表面エネルギーが低いフッ素樹脂は水を弾き、滑っていきます。表面エネルギーが高いその他の素材の場合は、水が付着すると水に濡れて湿ります。この接着性の低さゆえに、フッ素樹脂の表面は滑りやすく、接着剤や塗料に使用してもうまく定着しません。
積水化学では、接着性の低いフッ素樹脂にも接着できる両面テープの開発を進めています。特殊な処理は不要で、貼り合わせるだけで機能する点が魅力です。また、フッ素樹脂のみならず、金属やガラス、ポリプロピレンなどにも応用可能です。
国立研究開発法人産業技術総合研究所が開発した、金属有機酸塩コーティングと光反応を組み合わせた技術は、高い接着性を実現しています。樹脂の変質なく粗化も数nmに抑えており、高い応用力と柔軟性を兼ね備えています。
株式会社陽和では、溶着によってフッ素樹脂の接着性を高める技術を開発しました。溶着した箇所は溶融結合しているため、強い力を加えても外れにくい特徴があります。また、独自の溶着技術によって、接合部の盛り上がりを最小限に抑えます。
本来フッ素樹脂には接着性が低いという特性がありますが、紹介したように、接着性を高める技術開発が進んでいます。特殊な処理が不要な両面テープや、金属有機酸塩コーティングと光反応を組み合わせた技術、溶着などがあり、用途によって選ぶといいでしょう。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)