フッ素樹脂のコーティングでは、「ブリスター」と呼ばれる現象に注意が必要です。ブリスターが発生すると、そこを中心に剥がれが発生しやすくなるため、コーティングの品質を下げる原因になります。
この記事では、フッ素樹脂コーティングにおけるブリスターについて、発生原因や予防策を紹介します。
ブリスター(ブリスタリング)とは、日本語にすると「水ぶくれ」という意味の言葉です。
ライニングやコーティング作業を行ったときに、塗膜の表面にできる水ぶくれや泡のことで、塗装工程における不具合のひとつです。
フッ素樹脂の塗装では、膜に厚みをもたせる「ライニング」と、厚みのない「コーティング」の2種類があります。
どちらの場合でもフッ素樹脂の中に水分子が入り込むことでブリスターが発生しやすくなるため、高温多湿な環境下で塗装を行う際は注意が必要です。
塗膜の表面に丸い膨らみが浮き出す現象で、水分(水蒸気)の多い環境で塗装を行うと、空気中を漂う水の分子が塗膜の中に入り込みます。
水分子はフッ素樹脂の分子よりも小さいため、すき間から入り込んでしまうのです。
水の分子が基材まで入り込むと、分子は冷えて液体となります。液体化した水の量が多いほど塗膜を大きく持ち上げ、ブリスターのサイズが大きくなります。
フッ素樹脂コーティングにおける、ブリスターの原因4つとそれぞれへの予防・対処法を確認していきましょう。
発生原因 | 対処・予防方法 |
塗装対象に水分が残っている | 乾燥工程や塗装対象の吊り方を確認し、見直す |
塗装対象の凹みに水分が残っている | 乾燥工程を再検討し、丁寧に行う |
防錆剤などが落としきれていない | コーティングの前処理を丁寧に行う |
前処理薬の濃度が高すぎる | 前処理の工程を確認し、見直す |
コーティングの過程では、塗装対象の状態や塗装工程に注意が必要です。対象物に水分や防錆剤が残っていると、そこにブリスターができるおそれがあるため、十分に水分を拭き取るか乾燥させましょう。
高温多湿な場所では、空気中に水蒸気が多く含まれているためブリスターが発生しやすい状態です。除湿機能を搭載した空気清浄機を活用するなど、塗装環境の見直しが必要です。
乾燥工程ではエアーブローや乾燥炉を使って対象物を乾かしますが、その際の温度や時間が適切であるかも確認しましょう。
フッ素樹脂は耐薬品・耐熱・耐寒性をもつ素材で、さまざまな製品に使用されています。しかし、厚みをもたせないコーティング塗装では、ブリスターの発生によって剥離現象が起きる場合があり、ブリスターの数が多いほどコーティングの持ちが悪くなってしまいます。
コーティングの方法や過程、対象物の形状を確認し、ブリスター以外の不具合として「ピンホール」や「ハジキ」にも注意し、塗装不良を予防することが大切です。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)