ここでは絶縁性に優れると言われるフッ素樹脂の電気特性について調査しました。またその特性がどのような分野・製品に生かされるのかについても解説しています。
フッ素樹脂は非粘着性や耐熱性に注目が集まることが多いですが、電気特性としても優れた絶縁性を有しています。温度や周波数に影響を受けず、他の素材と比較すると誘電率が低く、電気抵抗率が高いです。
これは分子構造が対照的((-C2F4-)n)で炭素とフッ素の間の距離が短いからです。そのため導電をできるだけ避けたい電子部品や機械の生産にフッ素樹脂コーティングが用いられるケースが多くなっています。
電気的に安定しているフッ素樹脂はプラスチックに対する誘電率も低いため、同軸ケーブル・プリント基板などの電子機器関連部品にも利用されています。家電や通信業界はもちろん、自動車、航空・宇宙産業まで応用範囲は広いと言えます。
フッ素樹脂が他の素材と比較してどのような電気特性を持っているのかデータで比較してみましょう。まず誘電率ですがPTFE、PFA、FEPで2.1、PCTFEやETFEでも2.6です。ガラスが3.7~10.0、木綿が3~7.5なのでその低さがわかります。
軽量化素材として知られるPBT(ポリブチレンテレフタレート)は3.3、耐熱性が高いPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が3.2~3.4ですのでプラスチック樹脂の中でもフッ素樹脂は誘電率が低く、絶縁耐力(短時間)は19~22MV/mとなっています。
またアーク放電による材質の劣化に対する耐性を示す耐アーク性は約300sec。PBTの125~190sec、ペットボトルの原料PET(ポリエチレンテレフタラート)90~120secよりも高く、電気的用途に適していると言えます。
参照元:
パッキンランド(https://www.packing.co.jp/PTFE/ptfe_ippantokusei1.htm)
山本電気工業(http://www.ydic.co.jp/technology/table.html#Anchor_h)
「砥石」と「研削・研磨」の総合情報サイト(https://www.toishi.info/sozai/plastic/denki.html)
湯本電機(https://www.yumoto.jp/yumopedia/arc-resistance)
フッ素樹脂の電気特性を生かした用途・事例として以下のようなものがあります。絶縁性の高さから電気・電子部品関連に多く使用されています。耐熱性などその他のフッ素樹脂の特性と合わせた効果にも期待できます。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)