金属やプラスチックへの塗装では、「エナメル塗装」という方法が使われています。エナメル塗装は揮発ではなく化学反応を用いた塗装方法で、有毒成分の含有量が少ない点がメリットです。
この記事では、フッ素樹脂コーティングにおけるエナメル塗装について、メリット・デメリットや特徴を紹介します。
フッ素樹脂コーティングにおいて、フッ素樹脂に硬度をもたせたい場合にはエナメルをブレンドした「フッ素樹脂エナメル塗料」が使われます。
エナメルを加えると、フッ素樹脂の耐候性に硬度と定着力が加わります。エナメル自体はアクリルよりも下処理の手間がかからないため、利便性の点からもフッ素樹脂エナメル塗料が選ばれています。
屋外での塗装では塗料が温度変化や太陽光(紫外線)からの影響を受けるため、耐候性の高いフッ素樹脂コーティングが用いられますが、フッ素樹脂エナメル塗装は塗装のムラを減らして光沢感を与え、作業者の健康被害も抑えられます。
エナメル塗装は表面をしっかりと硬化させ、滑らかな仕上がりとなります。少ない量でもきれいな発色が可能で、細かい部分まで塗料が行き渡るため、プラモデルの塗装にも用いられています。
耐候性の高いフッ素樹脂はプラスチックを原材料とする塗料の中でも硬度が高くないため、表面をきれいに仕上げる際にはエナメルを添加した塗装が適しているのです。
エナメルは金属・木材・プラスチックといったさまざまな対象物の表面に均一で薄い塗膜を形成できます。塗料自体が硬度をもつため傷がつきにくく、屋外で使われる物の塗装に効果的です。
デメリットとして、エナメルを含む塗料は石油系の対象物と相性が良くありません。
少ない量でも均一に塗膜を形成できますが、重ねて塗っていくと基材の耐久性が落ちるおそれがあります。特に対象物がプラスチックの場合は強度が大きく低下するとされています。
下地がラッカー塗装の場合は上から塗装可能ですが、エナメル塗装の上からラッカー塗装を行うと剥がれやすくなります。
フッ素樹脂エナメル塗装を行う際は、以下の手順で加工を行います。
塗装を施す対象物(基材)を点検し、コーティングに適しているかを確認します。コーティングが可能な基材は炉で加熱し、汚れなどを分解させます。炉に入れられない基材は溶剤などを使って洗浄します。
下地処理としてコーティング面を粗面化し、フッ素樹脂エナメル塗料が定着しやすいようにプライマーを塗装・焼成します。プライマーが焼き付けられてから塗料を手動または機械でスプレーし、加熱して樹脂を溶かしながら塗膜化します。
繰り返し塗装・焼成を行って塗膜を希望の厚さまで増して、全体のコーティングが完成します。完成後は仕様のとおりに加工できているか品質検査を行い、要領書にしたがってチェックしたあと納品となります。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)