日常生活でさまざまな場面に利用されているフッ素樹脂は、1つの形態だけで存在するのではありません。実は、「ディスパージョン」「粒状」「粉体」と3つの異なる形態があります。
この記事では、フッ素樹脂の3つの形態について、特徴や性質、活用方法を紹介します。
ディスパージョンとは、1つ以上の成分が媒体の中で均一に分散している状態のこと。具体的には、乳化重合された水系分散対を界面活性剤で安定させた状態のことをいいます。
ディスパージョンの特徴は、フッ素樹脂の優れた性能を維持しながら、粘度が低いためコーティングや塗布がしやすくなることです。しかし、同じディスパーションの形態でも、製品によって品質が大きく異なります。一般的な汎用品としてのフッ素樹脂製品から、粘度などを下げて金属加工用に改良したもの、反対に界面活性剤濃度を上げてガラスコーティング用にしたものなどさまざまです。目的に合わせたディスパージョンのフッ素樹脂を用いることが大切です。
金属やガラスクロスなどのコーティング剤や他の樹脂への添加剤など、幅広い用途で使用されています。
粒状とは、粒子や顆粒の形状になった固体のことです。一般的に1つの粒子が目に見える大きさを粒状といいます。
粒状の特徴は、混練や成形が簡単なことです。また、押し出し成形などの加工プロセスでも樹脂が均一に溶けやすく、製品の品質を安定させやすいという利点があります。
ディスパージョンや粉体よりもさらに幅広く利用されています。シール材やパッキンに使用すると耐熱性や耐摩耗性の向上が期待できます。そのほか、フィルムや成形品、食品、衣料分野など多様な業界で活用されているのが特徴です。
粉体とは、粒状よりも固体が細かく、非常に微細な粒の状態のことです。一般的に1つの粒子が目に見えない大きさを粉体といいます。固体の材料を粉末状に加工したものを粉体と呼びますが、μmレベルの粒子が集まって構成されているため、液体のように見えることもあります。
形状の特徴としては、粉末で分散しやすいことがあげられます。生成方法は、固体を粉砕するケースが多いですが、液体に溶けた成分をろ過したり、溶液を温めてガスとして噴射し急冷したりするやり方もあります。生成方法によって粒子の形状が異なり、均一や不均一のもの、丸い形状のものなどさまざまです。
塗料やコーティング剤、加工などに利用されています。粉体のフッ素樹脂をシール材やパッキンに添加すると、耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性などを向上させる効果があります。
優れた耐熱性や耐薬品性、非粘着性といった特性を持つフッ素樹脂。その形態には、ディスパージョン、粒状、粉体と3つあることをご紹介しました。
3つの形態のなかで、幅広い分野で使用されているのは粒状ですが、ディスパージョンも粉体もそれぞれに特徴や適した活用方法があります。3つの形態の違いや性質をよく理解したうえで、フッ素樹脂コーティングを行いましょう。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)