ここではフッ素樹脂コーティングの持つ難付着性や非粘着性について解説してます。どんな用途に使われているかなど事例も紹介しながらそのメカニズムにについて紹介します。
難付着性はフッ素樹脂コーティングの代表的な特性としてよく知られており、物質が固着しにくいため非粘着性とも表現されます。フッ素樹脂コーティング後はものが付着しにくくなり固着しても容易に取り除くことができます。
フッ素樹脂は臨界表面張力が低く、加工表面が濡れにくくなる性質があります。界面の極性が低いと接触角が大きくなり物質が粘着しにくくなります。フッ素樹脂は他の物質に比べるとこの極性が低いため固着しにくいのです。
非粘着(離型)性に優れるものは他にもDLC(ダイヤモンドライクカーボン)やTNGコート、薄膜シリコン系コーティングなどがありますが、フッ素樹脂コーティングは適用範囲が広くバイセラムなどフッ素樹脂にラミック粒子を含有させる技術もあります。
フッ素樹脂コーティングの難付着性・フッ素樹脂コーティングの難付着性を理解しやすい例はテフロン加工のフライパンです。テフロン™とはPTFEというフッ素樹脂の一種のことでデュポンの登録商標となっています。(三井・ケマーズフロロプロダクツ公式サイトより https://www.mc-fluoro.co.jp/special/history/)
テフロン加工のフライパンのこびり付きがないのは、フッ素樹脂コーティング難付着性を利用しているからです。また撥水・撥油性や耐熱性などフッ素樹脂ならではの性質をフルに生かせるのがフライパンというわけです。
こうした難付着性はフライパン以外にもさまざまな分野で活用されています。工業用ではボールなどゴム・樹脂の成形金型やインクが付着しにくい大型の塗料調合タンクなどにフッ素樹脂コーティングが利用されています。
色変え作業時には、印刷機器の完全な洗浄が必須であり、作業者への負担となっていました。 また、環境問題や原料の高騰などから、塗料やインクの回収率の向上と洗浄廃液及び廃棄費用の低減は大きな課題でした。
印刷機器(容器・ドクター部品・カバー等)に洗浄を容易にするフッ素樹脂コーティングを提案しました。当社のフッ素樹脂コーティングを採用する事によって①塗料・インクの付着が少なくなる事によって、色のこりや塗料凝固物(異物)の混入が軽減できます。
②色替え時間が短縮され、操業率が向上します。③容器への非粘着効果により、塗料・インクの回収率が高まります。④洗浄時の作業者の負担が軽くなります。⑤洗浄時の廃液及び廃液処理費用の低減により環境負荷を低減します。
引用元:日本フッソテクノコート株式会社公式ページ
(http://www.nf-technocoat.com/example/kagaku.html)
◇滑り剤を使えない箇所にフッ素樹脂コーティング
依頼内容
タイヤの型付け(フォーマー)工程で、仮成形した未加硫ゴムに滑り剤を塗布し、油圧で成形していた。均一にタイヤの型付けが出来ない場合、バランス不良となる。滑り剤は、タイヤにとっては異物であり、使用は避けたいが変わるものがない。
提案内容
液体までの摩擦係数の低減は難しいが、固体の中ではPTFEが一番低μであること、 尚且つブラストとめっきという硬い凹凸をプラスする複合技で提案
結果、滑り剤の使用を2回/日に減少でき、合わせて変形不良も減った。
引用元:タイメットコート株式会社公式ページ
(https://fact-link.com/mem_content.php?pl=jp&mem=00005989&page=00013356#3)
全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)