フッ素樹脂コーティングは、フッ素コートやフッ素加工といった呼称でも知られており、撥水性・すべり性・耐薬品性を与えるために行われる表面処理のことです。航空機・自動車・調理器具などさまざまな製品に使用されています。
この記事では、フッ素樹脂コーティングを施す際に起きる「剥離」について、原因と予防方法を紹介します。
フッ素樹脂コーティングは、フッ素が含まれたプラスチック材料を塗装します。基材の金属に塗装し、加熱をしてコーティングが完成します。
剥離の原因は、基材側と皮膜側、その他の原因に分けて考えられます。それぞれの原因をみていきましょう。
コーティングが剥がれる原因として、基材の腐食・摩耗・基材の薄さ・傷などが挙げられます。
基材に腐食や傷などができていると、コーティング剤を吹き付けてもきれいに覆われず、腐食部分や傷のところから剥がれやすくなります。
基材の厚みにも注意が必要です。基材そのものが薄すぎると、コーティングを吹き付けても特性を十分に発揮しきれず、剥離が起きることがあります。
皮膜の薄さと厚さは、基材に対して均一かつ適度な厚みをもたせる必要があります。皮膜が薄すぎると特性を発揮しきれず、厚すぎると基材との間にひずみができて剥離につながってしまいます。
コーティングの際、皮膜の中に気泡を造らないことも重要です。気泡は「ピンホール」と呼ばれ、小さな穴があいたところから薬品が中に浸透し基材が腐食し、剥がれやすくなります。
コーティングを行った後、長期間使い続けていると水分や薬剤が浸透し、基材が腐食することがあります。内側の腐食からも剥離を起こすことがあります。
コーティングを行った部分をこすったり傷をつけたりすると、そこから水や薬剤が入り込んで剥がれ落ちるおそれがあります。また、水に長時間浸けおく場合も剥離しやすくなります。
フッ素樹脂コーティングの剥離を防ぐためには、基材の形状・摩耗度・皮膜の適切な厚みをそれぞれ確認しておく必要があります。
一例として、1μm以下の薄膜をコーティングすると、透明性が高いままで撥水・撥油性が付加されます。帯電防止コーティングには30〜800μmが適切とされています。
フッ素樹脂のコーティングに適している基材は、凹凸がなく適度な丸みをもち、表面が摩耗または腐食していない状態です。
皮膜そのものの寿命を長持ちさせるためには、均一かつ気泡のないようにコーティングを行うことが大切です。
フッ素樹脂コーティングは、フッ素樹脂特有の機能をもたせるために行われています。金属・セラミック・ゴム・ガラスを基材に、低摩擦性や耐熱・耐寒性、耐薬品性など多様な特性が付加できます。
皮膜を長持ちさせるためには、剥離しやすい条件を押さえることが大切です。水にさらさない、外から摩耗や傷をつけないといった方法で剥離を予防しましょう。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)