フッ素樹脂コーティングを採用する上で重要なポイントになるのが、プライマーです。フッ素樹脂は、ものによっては塗料やほかのものと固着しにくい性質があるため、より固着するための工夫が必要です。その工夫にあたるのがプライマーです。フッ素樹脂の密着性を高めることができ、応用できる範囲が広がります。
ただ、フッ素樹脂塗料によっては、プライマーが必要な場合と不要な場合にわかれます。この記事では、フッ素樹脂コーティングにおけるプライマーの役割、使用方法、プライマーが必要になるフッ素樹脂塗料の種類について解説します。
プライマーとは、フッ素樹脂と母材の密着性を高める接着剤の役割を果たすものです。 フッ素樹脂は基本的に、他のものを固着しにくい性質があります。そのためプライマーを使用することで、フッ素樹脂でも密着性を高めることができます。 工程の流れとしては、プライマー塗料を塗布したあと乾燥・焼成させる必要があります。
プライマー塗装までの流れを紹介します。 まずプライマーを塗布する前に、基材に付着した汚れや油といった付着物を、熱処理によって除去する必要があります。この工程を「空焼き」と呼びます。
熱に弱いなど空焼きできない基材を取り扱う場合は、超音波や拭き取りなど別の手段で脱脂を行います。
その後、コーティングの接着をより高い精度で行うために、ブラスト処理を行います。ブラスト処理とは、表面に凹凸をつける加工で、表面積を増やす効果があります。
ブラストが終わったらいよいよプライマー塗料をつけていきます。基材にプライマーを塗布したら、プライマーを乾燥・焼成の工程に入ります。
フッ素樹脂塗料の種類は溶融型・変性型・反応型の3種類あり、それぞれプライマーが必要かどうか異なります。各型においてプライマーが必要かどうか紹介します。
フッ素樹脂には接着性がなく、溶融型のフッ素樹脂塗料にはプライマーが必要です。 溶融型のフッ素樹脂はさまざまですが、なかでもPTFE樹脂やPFA樹脂、FEP樹脂の塗料はフッ素樹脂のメリットを最も活かせます。 溶融型は、基材にフッ素樹脂粒子を塗布したあと、焼成もしくは乾燥したのちに焼成します。
変性型は、PAIやPESといった、熱に強い樹脂の溶液にフッ素樹脂を分散させた塗料です。 プライマーは必要ありません。耐熱性樹脂の成分が接着性を持ち、プライマーの代わりの役目を果たします。
フッ素樹脂には、耐熱性、非粘着性、耐薬品性など優れた点が多く挙げられます。変性型は、さらに外傷や外部からの圧力、機械的強度も補強されております。 溶融型と比較した場合、耐熱性に劣る可能性が高いです。 変性型は、まず乾燥させたのちに焼成するのが一般的な成膜プロセスです。
反応型は、比較的温度が低くても硬化しやすい特徴があります。硬化剤として、イソシアネートやメラミンを使っている影響です。反応型は、基材の材質次第では、プライマーは必要ありません。
反応型は、すでにご紹介した溶融型と変性型に比べて耐熱性が劣る傾向があります。反応型は比較的低温で硬化するため、焼成の必要がありません。基材に塗布して乾燥させれば硬化してくれます。
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