フッ素樹脂は、代表的なPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のほか7種類あり、そのなかでもコーティングとして利用される傾向があるのがPVFです。代表的な使用例は太陽電池で、耐候性に優れるPVFならではの使用用途といえるでしょう。
そんなPVFですが、PVFならではのさまざまなメリット・デメリットがあるのです。この記事では、PVFの特徴やメリット、性能について紹介します。
PVFは「ポリビニルフルオライド」のことで、フッ化ビニルを重合して得られており、和名では「フッ化ビニル樹脂」と呼ばれています。
PVFの優れているポイントは耐候性です。耐候性とは、屋外にある外的要因(太陽光や温度・湿度、雨や風など)や自然環境にどのくらい耐えられるかを表す指標のこと。耐候性に優れているということは、屋外で使用しても劣化が少なく長期的に使用できる可能性が高い、と判断できます。
たとえば、建物のインテリア・エクステリア、屋根の表面材などに使用され、耐候性の高いPVFを利用するのに適した選択肢といえるでしょう。
また、太陽電池の高機能フィルムとしても採用されています。太陽電池は常に屋外にさらされており、温度や湿度といった自然環境の変化を顕著に受けますが、PVFによって耐候性を高めています。
そして、ほかのフッ素樹脂と同じように、耐熱性や耐薬品性、染色性もある程度有しています。
デメリットとしては、加工の困難さが挙げられます。フッ素樹脂を代表するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やFEP(フッ化エチレンプロピレン)に比べると成形が非常に困難で、使用用途が限られているという見方もできます。主な用途は、先ほどお伝えしたように、フィルムとして使われるのが一般的です。
PVFは、ほかのフッ素樹脂と同じように耐熱性があります。温度にして100度までの耐熱性を有しており、融点は203です。一般使用から工場の現場など幅広く使える可能性があるのです。
PVFの難燃性は低い傾向があり、8種類あるフッ素樹脂のなかでも特に低く、PVFの特徴のひとつといえるでしょう。
PVFの摩擦係数は0.3です。ほかのフッ素樹脂と比較すると、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)の0.4に近い数字を示しています。
PVFの耐薬品性は、特にアルカリにたいして優れている傾向があります。そのほか、酸や溶剤などについては、耐性があり使用できますが、ほかのフッ素樹脂に比べてそれほど強固な耐性は持っていないので気をつけなければなりません。
PVFは、上記で取り上げた特徴のほか、機械的性質、電気的性質、非粘着性も有しているのです。このように、さまざまな特徴がありますが、成形の困難さはやはりネックになりがちです。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)