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フッ素樹脂とテフロンの違いとは?

身近なものだとフライパンには、「フッ素加工」「テフロン加工」という2つの加工方法が存在します。そもそもフッ素樹脂とテフロンの違いとは何でしょうか?このページでは「フッ素樹脂」と「テフロン」の違いについて解説します。

テフロンはフッ素樹脂の一部で商標登録されたもの

フッ素樹脂加工のひとつであるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、デュポン社が商品化を図り「テフロン」という名称を付けて販売しました。そのためテフロンという言葉がメジャーとなり「テフロン加工」という言葉を用いたフライパンなどが売られるようになった背景があります。つまりテフロンとは、フッ素樹脂の一部が商標登録されたものです。

フッ素樹脂はフッ素を配合した合成樹脂のことで、テフロンだけでなくポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニルデンなど多数の種類があります。種類ごとで性質や用途などが異なり、それぞれの性質に合った製品で用いられているのです。その中でテフロンはフッ素と炭素だけで製作されたフッ素樹脂で、高温にも強く、薬品に浸けたとしても安定した状態を保つという性質があります。そのため調理器具など幅広い分野で活用されている材料です。

テフロン加工の種類

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

PTFEは「四フッ化エチレン」や、「4F」とも呼ばれるものです。その特徴としては、連続使用温度が260℃であり非常に耐熱性が高い点が挙げられます。そのほかにも、非粘着性、低摩擦性などにも優れているという特徴を持っている反面、耐食用途には向いていません。

また、PTFEの静摩擦係数は0.04となっており、滑らせることが必要な場面で多く用いられます。この性質から、無給油潤滑を可能とすることができるため、例えばグリスや潤滑油などを使えない環境で活用できます。

PFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)

PFAは、上記でご紹介しているPRFEを改良した樹脂です。こちらも連続使用温度が260℃となっており、耐熱性が高い点が特徴です。また、熱溶融粘度が低いため、ピンホールが少ない連続被膜を得ることも可能であり、防食用のコーティングとしては非常に優れた性能を持つフッ素樹脂加工となっています。

さらに、PTFEと比較すると非粘着性に優れていることから、高温離型用として用いられています。このように、さまざまな面で幅広く活用されています。

FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)

FEPは、PTFEを改良したものですが、耐熱性はPTFEより低く200℃程度となっています。また、非粘着性、耐食性に特に優れている点も特徴となっていますので、粘着を避けたい環境での使用に向いているといえます。

さらに、焼成によってピンホールが少ない皮膜を得られる点も、ポイントのひとつです。

ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー)

ETFEとは、熱可塑性を持つフッ素樹脂であり、PTFE、PFEに匹敵する絶縁性、低摩擦性などを持つ点が特徴となっています。最高連続使用温度は150℃となっており、-200℃から150℃までの温度下で使用した場合でも、安定した機械的特性を維持できる点もポイントです。また、ETFEの場合、厚膜コーティングを行うことが可能となっている点から、耐薬品性、耐食性が優れています。

テフロン加工の具体的な用途

テフロン加工やフッ素コートのフライパン

テフロン加工やフッ素コートのフライパンは、PTFEの非粘着性を利用した製品となっています。PTEEが持つ高い耐熱性と非粘着性から、加熱調理を行えるようになるとともに、フライパンに食材がくっついてしまうこともなくなります。このPTFEが持つ非粘着性は、フライパンのほかにもさまざまな生産現場にて用いられています。

薬品と接する容器やパッキンなど

PTFEは、薬品や溶剤に侵されることはほとんどないといえます(一部の特殊なケースを除く)。さらに、ガス透過性も低い性質を利用して、薬品と接する容器やパッキン、チューブ、ポンプ製品にも活用されています。また、耐熱性や耐寒性、低摩擦性などの機能も持っていることから、耐食材料としても利用が可能となっています。

調理や食品加工用のベルトやコンベヤー

食品が大量生産される現場では、ベルトやコンベヤーが導入されているところもあります。このベルトやコンベヤーについても、PTFEがコーティングされています。ベルトやコンベヤーに対してコーティングを行うと、大量生産を可能にする離型面を生み出すことができ、例えば卵やベーコン、ソーセージ、鶏肉、ハンバーガーなどさまざまな食品の調理・加工が行えるようになります。

家庭用のアイロンの熱板部

家庭で使用されているアイロンの熱板部にも、フッ素樹脂コーティングが使われています。PTFEは、静摩擦係数が0.04と非常に小さい点が特徴のひとつ。この滑りの良さと熱に強い性質がアイロンのコーティングに活用されています。

電気メッキを行う際に使用する治具へフッ素コーティングを実施

電子部品に対して電気メッキを行う工程においては、製品を固定する治具にメッキが付着します。このメッキを剥離する作業に時間とコストがかかっている状況だった点に加え、治具が劣化しやすくなるために交換頻度も高くなるという課題がありました。

この課題に対し、治具に対してフッ素樹脂コーティングを実施。このことにより治具に対するメッキの付着量が大幅に減少した点に加えて、耐食性にも優れていることから、メッキ処理液からの保護効果も得られています。このコーティングにより治具の寿命が向上してコストダウンにもつながります。

自動車部品の塗装ラインでテフロン加工を活用

自動車部品の塗装ラインに使用されているマスキング治具は、塗装を行うことにより治具に塗料が付着します。この付着した塗料の清掃を行うにあたって時間と労力が必要となっていたことから、治具に対してテフロンコーティングを実施。コーティングを行うことによって高い離型性が得られ、課題となっていた塗料の付着が改善。清掃時間と労力の短縮が実現できています。

また耐薬品性に優れているために塗料に含まれる溶剤によってコーティングが侵食される心配もなく、コーティングも長持ちします。

マーブルコート・ダイヤモンドコートとは?

フッ素加工やテフロン加工と同様に、近年では「マーブルコート」「ダイヤモンドコート」という言葉も見かけるようになってきました。実は、マーブルコートもダイヤモンドコートもフッ素樹脂加工のことです。どちらも耐久性を高めるためのコーティングとなっており、通常のフッ素加工・テフロン加工よりも優れた耐久性があると言えるでしょう。ただマーブルコートとダイヤモンドコートでは、フッ素樹脂に混ぜられている材料が異なってきます。どのような違いなのかをみていきましょう。

マーブル

マーブルコートとは「フッ素樹脂+大理石の粉(マーブル)」を混ぜ合わせて作ったコーティング剤のことです。マーブルコートの方が、ダイヤモンドコートよりも比較的リーズナブルな製品も多いというメリットがあるでしょう。

ダイヤモンド

ダイヤモンドコートとは「フッ素樹脂+合成(人造)ダイヤモンドの粉」を混ぜ合わせて作るコーティング剤のことです。ダイヤモンドという点を考えればマーブルコートよりも高価な製品が多いデメリットはありますが、ダイヤモンドの方が高い硬度を誇るのでコーティング剤としてはより優れていると言えるでしょう。

フッ素樹脂コーティング会社
おすすめ3選

全国展開の
フッ素樹脂コーティング会社3

全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)

【業界のパイオニア】
フロロコート名古屋

引用元:フロロコート名古屋公式サイト
https://www.fluorocoat-nagoya.co.jp/

特徴
フッ素樹脂コーティングの日本のパイオニアとして表面改質技術と実績で業界をリード!多種多様な塗料と技術力で特注品から量産化まで対応。
対応業種

自動車、医療、半導体、食品加工機械(鉄板、窯など)、一般産業機械、化学、 ゴム、OA機器、製紙・印刷機械、繊維機械、建築、宇宙・航空

【自社オリジナル】
株式会社吉⽥SKT

引用元:吉田SKT公式サイト
https://www.y-skt.co.jp/

特徴
自社オリジナルのフッ素樹脂コーティングをはじめ多種多様な塗料をあつかっており、有機無機複合コーティングなどオリジナルのコーティング剤で対応
対応業種

自動車、医療、半導体関連、食品、宇宙・航空

【他の素材でも対応】
⽇建塗装⼯業株式会社

引用元:日建塗装工業公式サイト
http://www.nikken-toso.co.jp/

特徴
フッ素樹脂コーティングの他、自社独自の特許製品やセラミックコーティングなどフッ素樹脂以外のコーティングにも幅広く対応。
対応業種

一般産業機械、化学、半導体、食品、医療、自動車、ゴム、医薬、OA機器、製紙・印刷、繊維、建築