フェノール樹脂とは人工プラスチックの一種であり、誕生した当時にはさまざまな工業製品の原料として用いられていました。フッ素樹脂とフェノール樹脂はどちらもプラスチックであるという共通点があります。しかし両者には明確な違いがあることも事実です。
そこで、ここではフェノール樹脂とフッ素樹脂の違いについて解説します。フェノール樹脂についての情報もまとめましたので、フッ素樹脂コーティングを検討しているなら、ぜひ依頼前に知っておきたい基礎知識として参考にしてください。
フェノール樹脂とは、フェノール類とアルデヒド類に触媒を加えて、縮合反応を引き起こすことによって生成される樹脂のことです。フェノール樹脂はプラスチックの一種であり、その誕生以前は、プラスチックは主に植物原料から作られていました。
しかしフェノール樹脂の誕生により、人工的な熱硬化性プラスチックが製造されるようになりました。現在では他のプラスチック素材も広く利用されていますが、フェノール樹脂は当時、珍しい人工プラスチックとして多くの工業製品に用いられていました。
フェノール樹脂は耐熱性や強度、硬度が高く、クリープ特性にも優れている点がメリットです。また燃焼性が低いこともメリットと言えるでしょう。もし燃焼したとしても煙の発生が少なく、人体に害を及ぼす可能性が低いプラスチックです。
耐酸性に強いフェノール樹脂ですが、反面、耐アルカリ性が低いデメリットがあります。また酸化によって変色すること、靭性が低いこと、複雑な形状を作りにくいことから、適用の範囲が限られるでしょう。適用できたとしても、他の材料に比べてコストが割高になることがあります。
フッ素樹脂とフェノール樹脂の大きな違いは、熱可塑性樹脂か、熱硬化性樹脂かという点です。フッ素樹脂は熱可塑性樹脂で、フェノール樹脂は熱硬化性樹脂です。熱可塑性樹脂は、融点まで加熱すると柔らかくなり、冷やすと固まります。一方、熱硬化性樹脂は、加熱によって硬化し、それ以上加熱しても柔らかくなりません。つまり、加熱に対して異なる性質を持つ素材です。
またフェノール樹脂には耐アルカリ性に弱いというデメリットがありますが、フッ素樹脂は耐薬品性に優れています。したがってアルカリ性の薬品を取り扱う場面には、フッ素樹脂コーティングが適している場合があります。
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