本記事ではUV硬化樹脂の概要や、メリット・デメリット、フッ素樹脂とUV硬化樹脂の違いなどについて解説します。
UV(紫外線)硬化樹脂は、自動車の外装や家電製品などのコーティング剤、電子部品の接着剤などに使用される素材です。UV硬化樹脂が紫外線照射を受けると、光重合開始剤が反応し、モノマーやオリゴマーが重合。それにより固化する特性があります。硬化過程が数秒で完了するため、常温硬化型樹脂や熱硬化型樹脂と比較して短時間で行える点が特徴です。また、架橋密度が高いため耐溶剤性にも優れています。
低温でも処理できるため熱に弱い基材にも適しており、多くの産業で活用されています。
UV硬化樹脂は、紫外線を照射すると数秒以内に硬化するため、生産性が高く作業時間を短縮できる点がメリットです。また、溶剤を使用しないタイプ(無溶剤型UV硬化型樹脂)は溶剤が大気中に拡散するのを防ぎ、シックハウス症候群などの原因となるVOC(揮発性有機化合物)の発生を抑制します。そのほか、溶剤を揮発する工程を削減できるため効率的な加工が可能です。低公害性・省エネルギー性に優れているといえるでしょう。
紫外線を均等に照射する必要があるため、紫外線を当てにくい複雑な形状のものには不向きです。また、光重合開始剤やモノマーの質、紫外線の強さなどの環境条件によって硬化の進行具合が異なることがあり、品質のバラつきが出る場合があります。
そのほか、UV硬化樹脂は作業時に人体がかぶれなどの症状を起こす場合があります。直接樹脂に触れていなくても、紫外線照射器を通す際に発生するガスが人体に悪影響を及ぼすおそれがあるため、十分な換気と保護具の着用が必要。UV硬化樹脂を使用する作業場では、マスクや保護メガネ、長袖、手袋などを使用し、肌の露出を避けるよう対策がされています。
フッ素樹脂とUV硬化樹脂は、それぞれ異なる特性を持つ高機能素材なので、用途や硬化方法にも違いがあります。
フッ素樹脂は、フッ素原子をはじめとするプラスチック素材のことです。フッ素樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)などの種類が含まれます。これらは過酷な環境下で使用されることが多く、耐熱性や耐薬品性、低摩擦性に優れている点が特徴です。また、フッ素樹脂は主に加熱または圧力をかけて加工します。
一方で、UV硬化樹脂の主な種類はアクリル系などのラジカル重合を用いたものと、エポキシ系などのカチオン重合を用いたものがあります。生産効率が求められる分野で用いられている樹脂です。
フッ素樹脂は耐熱性や耐薬品性が求められる場面で使用される一方で、UV硬化樹脂は硬化時間の短さや加工効率を重視する用途に適しています。それぞれの特徴を把握したうえで、使用する環境や目的に合わせて適した素材を選択しましょう。
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