ここではフッ素樹脂コーティングの特性の一つである撥水性・撥油性について解説。そのメカニズムや実際にその特性を活かした製品や用途についても紹介しています。
フッ素樹脂はほとんどの物質が固着しないためフッ素樹脂コーティングを行うと表面が水や油を弾き汚れにくくなります。身近にあるものとしてフライパンがありますが、そのにコーティング効果がわかりやすいのが防水スプレーです。
防水スプレーのほとんどは主剤にフッ素樹脂やシリコン樹脂が使用されています。撥水性だけなく撥油性があるので防汚効果が高くなります。こうしたフッ素樹脂の優れた撥水性・撥油性は当然ながら工業用としても広く利用されています。
工業用の機械は環境によっては汚れやすいですが、フッ素樹脂コーティングを行うことで掃除がしやすくなり省力化・効率化につながります。その他、雨傘や自動車の塗装にような製品の表面加工にも適しています。
撥水・撥油についてもう少し深く掘り下げてみましょう。フッ素樹脂の撥水・撥油性に大きく関わっているのが表面張力です。フッ素はC-F結合が安定しているため分子同士が引き合う力が弱く表面張力が低くなります。
これに対し、水や油は分子同士が引き合うため表面張力が高くなります。水の表面張力は約73mN/m、鉱油は約30N/mです。フッ素樹脂PTFEの表面張力は約19mN/mとなっています。油や水との表面張力の差が大きいほど弾きやすくなります。
油は水を弾きますが、フッ素樹脂はその両方よりさらに表面張力が低いため撥水・撥油性に優れていると言えます。この他、固体表面に対する液体の付着のしやすさのことをぬれ性と言い、水の場合は親水性や疎水性という言葉で表すこともあります。
ぬれ性を表現するために接触角が用いられます。接触角が180°に近いほどぬれ性が悪い(水をはじく)のですが、フッ素樹脂のPTFE、PFA、FEPの耐水接触角は114°ETFE、EFEPも82°~96°と撥水性の高さがわかります。
参照元:
AGCセイミケミカル株式会社(http://www.seimichemical.co.jp/product/fluoro/sfcoat/)
ダイキン工業株式会社(https://www.daikinchemicals.com/jp/solutions/technical-challenges/water-and-oil-repellency.html)
フッ素樹脂の撥水・撥油性を生かした加工製品として以下のようなものがあります。
関連ページ
全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)