こちらではフッ素樹脂コーティングのひとつであるPTFEの性能や歴史などを紹介していきます。
PTFEとは、ポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene)のことで、フッ素原子と炭素原子のみからなるフッ素樹脂です。PTFEは耐熱性と耐薬性、耐摩耗性などに優れているのが特徴です。
PTFEの特性は耐熱性と耐寒性があり、耐薬品性と摺動性(すべりやすい)、耐食性能に優れています。私たちの身近にあるPTFEの加工製品は調理器具ですが、PTFEの性能を活かした利用法は、半導体産業や情報機器、医薬関連、化学関連、自動車、建築、宇宙関連など多岐にわたっています。
PTFEの融点は327℃(※)で、−253℃までの耐寒性もあります。フライパンなど製品加工されたものであれば、耐熱の連続使用温度は260℃、耐寒は−100℃まで使用できます。
(※)参照元:中興化成工業公式サイトより(https://www.chukoh.co.jp/teflon/ )
PTFEは強い酸やアルカリ性に強く、不純性を起こしにくい性質があります。そのため配管やチューブ、ウエハーキャリアといった半導体を製造する装置にも多く使用されています。
PTFEは摩擦係数が非常に低いため、摩擦抵抗がほとんどありません。滑りやすくて撥水撥油性に優れています。
薬品や紫外線などが引き起こす化学変化の腐食を防ぐことを耐食性といいます。PTFEは強い腐食性のあるフッ化水素酸でも溶けない性質を持っています。
PTFEの弱点は、一般的なプラスチックの溶融成形(射出成形法やスクリュ押出成形法)などの成形手段が採用できないことです。これは耐熱性が高くて熱流動が生じないというPTFEの特性が理由です。
そのためPTFEは粉砕粉末を圧縮成型し、融点以上で加熱融着するという特殊な成形加工工程が必要となり、一般的な成形加工をする会社では扱いづらいのが現状です。
PTFEは1938年、米国化学メーカー デュポン社の研究員であったロイ・プランケット氏によって発見されました。デュポン社は1941年にPTFEの特許を取得。1945年にはPTFEをTeflon (テフロン)という商標で登録しています。
第二次世界大戦中には、強い腐食性をもつウランの取り扱いにPTFEが活用され、原子爆弾の開発前進の役割を担いました。
戦後は徐々に民間への利用が増え始め、1960年にテフロン加工のフライパンが誕生。現在のTeflonという呼び方は、デュポン社のフッ素樹脂コーティングの商品名となっています。
現在はデュポン社以外の企業でもPTFEは製造しており、ダイキン工業ではポリフロン、AGCではフルオンといった呼称で流通しています。
PTFEはすでにPFAやFEP、ETFEなど、用途や使い勝手に合わせた改良がされています。今後もフッ素樹脂の開発企業の努力で各分野へ拡大し続けるでしょう。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)