焦げ付きや、こびり付きを防ぐ「テフロン加工のフライパン」は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?ここではテフロンコーティングについて紹介しています。フッ素樹脂コーティングとの違いやそもそもテフロン™とは何かということからわかりやすく解説します。
テフロン™とは1938年に米国デュポン社が発見したフッ素樹脂の一つPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の登録商標名です(※)。一般の消費者にとっては、フッ素樹脂コーティングよりも、テフロン加工の方がなじみがあるかもしれません。
もともとテトラフルオロエチレンを用いた冷媒の研究をしていて見つかったのがPTFE。その時の冷媒がフロンだったことがテフロン™の語源と言われています。フッ素樹脂加工を行う会社は多くありますが、「テフロン™」の使用はデュポン社のライセンス契約が必要です。
(※)参照元:三井・ケマーズフロロプロダクツ公式サイトより(https://www.mc-fluoro.co.jp/special/history/)

テフロンは、フッ素樹脂コーティングという大分類の中の1つの商品です。テフロンという名称がフッ素樹脂コーティングよりも有名になってしまったため、わかりにくいですが、フッ素樹脂コーティングという枠の中にテフロンやポリフロン、フルオンなどの商品が存在しています。(右図参照※円の大きさや位置に特に意味はありません。)
また「テフロン」と言ってもPTFE、PFA、FEP、1コート用塗料等々、何十種類もの塗料があるため、「テフロン」という名称だけではどのコーティングを指しているのか特定できません。
テフロン™は名称を含めて使用する場合、ライセンス契約が必要になります。
ただし「テフロンという商標で販売ができない」だけで、ライセンス契約していない会社でも塗料は使うことができるため、数多くのコーティング会社(コーター)が取り扱っています。
なお、テフロンは海外生産している塗料であるため、テフロンの種類によっては、国内のフッ素樹脂と比べ、仕入れるのに時間がかかってしまったり、発注を何か月も前に入れる必要があります。急な加工や増産には対応できないことも想定されますので注意が必要です。
数多くあるフッ素樹脂コーティングの中でどの材料を使うかはコスト面、納期面(開発スピードなど)、品質面(特性)といった各要求をどこまで満たせるかによって異なります。ある用途においてはテフロンが適しているかもしれませんし、別の用途では適してないことがあり得ます。つまり使う側の使用用途とQCD(コスト、品質、納期)を全体的にとらえたなかで、最適な塗料を選定していくことが大切です。
なお、現在はフッ素樹脂コーティングについて、国内メーカーでの研究開発も進み、さまざまなフッ素樹脂コーティングが日々用途に合わせて開発されています。多くのフッ素樹脂のなかから、ニーズに合ったものを選ぶ必要があります。
優れた特性を持つテフロンコーティングは、私たちの日常で使用する家庭用品分野から最先端の宇宙科学技術分野まで、様々な用途で用いられています。以下、テフロンコーティングの主な用途について、特性別に見てみましょう。
インクタンクの洗浄、各種金型の成型、ロール(テープ製造)の工程円滑化、攪拌羽根の洗浄などにおいて、テフロンコーティングの非粘着性などが役立っています。
ピストンリングの摩耗防止、シュート類の工程円滑化、カメラ部品の故障対策、コンベアーベルトの製品向上などに、テフロンコーティングの耐摩耗性・すべり特性などが役立っています。
遠心分離機や耐塩水装置、メッキ槽・メッキ治具、化学用タンク・配管などにおける薬液使用において、テフロンコーティングの耐蝕性や耐薬品性などが役立っています。
メッキ治具・メッキカゴ・フライヤー・電極部品などにおける不良・事故の防止、また攪拌羽根・粉体製造部品・液晶テーブル・ウエハーチャックなどにおける静電気帯電防止において、テフロンコーティングの電気特性が役立っています。
フッ素樹脂コーティングの選定が難しい点は、使用用途(必要機能、使用条件など)、基材条件(材種、サイズ、形状など)、生産数量、コストといったさまざまなニーズを満たす必要があることにあります。これらを実現するためには、塗料の選定だけでなく、加工方法や品質保証方法、コスト算出など幅広い知識が求められ、ある意味では経験がものを言う分野といえます。
例えば、アルミ板の片面に難付着性を求める用途では、PTFEやPFAといった材料が候補に挙がります。しかし、焼成温度が約380℃と高いため、アルミ板の反りが懸念される場合があります。そのため、難付着性はやや劣るものの、焼成温度を抑えられる1コート系コーティングを採用するという選択肢も考えられます。このように、条件に応じた加工仕様を検討することが重要です。
また、フッ素樹脂コーティングの専門家であっても、実際の使用結果や耐久性については、試してみなければ分からないケースがあります。そのため、依頼する側の協力も不可欠です。ニーズに合った仕様を一緒に開発・検討していくパートナーシップが求められるという意味でも、フッ素樹脂コーティングは、対応力やアフターフォロー体制が整った会社に依頼することがとても大切です。
テフロンコーティング後の部品は、粘着性の高い物質と接したとしても付着しにくい、もしくは付着しないといった特性を持っています。
テフロンコーティングは、さまざまな樹脂の中でも熱に強く、-260度から+260度まで耐えられます。温度変化の激しい環境下で使用するものにコーティングしたい場合は、テフロンコーティングが適しています。
テフロンコーティングされた物質は、油や水と触れたとしても弾きます。そのため、フライパンにもテフロンコーティングが施されています。
さまざまな物が強い負荷をともなって擦れた場合、コーティングがはがれにくく滑りやすい特性を発揮します。摩擦力の少ない場所にも適しているのが、テフロンコーティングの特長です。
テフロンコーティングは、酸やアルカリ等の化学薬品に強く、腐食しにくい性質も持っています。化学薬品に浸かる、もしくは触れる可能性がある部品を製造している場合は、テフロンコーティングの検討も大切です。
テフロンコーティングは、絶縁性や耐アーク性の電気特性を持っています。そのため、各種電極や精密機器部品などの商品をコーティングするのに適しています。
PTFEは、耐熱性や非粘着性、低摩擦特性に強みを持つテフロンコーティングです。切断加工の必要な場面や滑りやすさを重視している場合に適しています。
PFAは、PTFEを改良したものです。耐熱性や非粘着性、低摩擦特性に加えてピンホール(小さな穴)の少ない連続皮膜を得られるのが特長です。また、PTFEより高い非粘着性を持っています。
FEPは、PFAと同じくPTFEを改良させたものですが、耐熱温度はやや低い200度程度です。高熱で焼いて性質を変化させることでピンホールの少ない被膜を得られます。
他の種類と比較すると耐熱性や非粘着性、低摩擦特性が弱いものの、耐摩耗性に優れ、防食用途にもよく使用されています。
テフロンコーティングの中には、高温型変成タイプや低温型変成タイプがあります。
高温型変成タイプは耐摩耗性の強いコーティング、低温型変成タイプは低温でも加工できるように調整されているのが特長です。
テフロンコーティングは、1度コーティングが施された部品に対して再度吹き付けられます。また、人体に毒性はありませんし、万が一体内に入ったとしてもそのまま排出されます。
テフロンコーティングそのものは、劣化しないという点も特長の1つです。ただし経年劣化により、皮膜より下の部材に水や薬品が浸透してしまう可能性があります。
また、吹き付け塗装なので、薄い部品に対して使用すると変形してしまう点に注意が必要です。
関連ページ
様々な機器や部品などに加工を施すことで、耐性を付与できるフッ素樹脂コーティング。耐性を持たせるのは性能を向上させるだけではなく、安全性に直結することも理由のひとつです。
どんな耐性を持たせたいか、どんな仕上がりを求めているのかによって加工メーカーをしっかり検討するようにしましょう。ここでは、用途別におすすめのフッ素樹脂コーティング加工メーカーをご紹介します。
引用元:フロロコート名古屋
https://www.landingpage-synergy.com/Y3dpVfRU/
鉄/SUS/ゴム/銅/真鍮/PPS/ガラス/FKM/CFRP/PEEKなど
引用元:吉田SKT
https://www.y-skt.co.jp/
※公式に基材情報なし、カタログをダウンロードしてご確認ください。
引用元:日本フッソ工業
https://www.nipponfusso.co.jp/
セラミック/CFRP/石英/鋼/鉄/鋳鉄など