フッ素樹脂コーティングは非常に使いやすくなるコーティング加工の一つですが、長期間使用し続けていると土台となっている材料の腐食が発生し使えなくなってしまうことがあります。本来は劣化に強いフッ素樹脂で加工しているにも関わらず、なぜ土台の材料が腐食する状態に陥ってしまうのでしょうか。それはフッ素樹脂で作られた膜には「ピンホール」と呼ばれる無数の小さな穴が存在するからです。このピンポールから薬剤が染み込み、徐々に土台の材料の部分まで侵入してしまいます。この液剤が腐食する要因となり、錆びが発生し、その錆びの部分からフッ素樹脂コーティングが剥がれるという状態になるのです。
フッ素樹脂の膜自体は劣化していない状態であっても、ピンホールから土台の材料の腐食が進んでしまえば結局使い物にはなりません。つまりコーティング容器は、土台の材料が腐食することで寿命となってしまうのです。
ピンホールからの薬剤が染み込む状態を少しでも抑えるための対策として、皮膜を熱くし「ピンホールレス」という状態にコーティングする方法があります。コーティングの層を何度も重ねることで、それぞれの層がピンホールを覆うことができるため薬液自体が染み込みにくい状態を作りだすことが可能です。コーティング膜の目安としては、30μm程度の薄い膜であれば表面の滑りをよくするなどの効果が期待できます。しかし300μm~400μmの厚い膜であれば耐食性を持たせる効果が高まるでしょう。ただピンホールをなくすためにコーティングを厚くしすぎてしまうと、皮膜乖離が起こりやすい状態となるので注意が必要です。適度な皮膜の厚さでコーティングすることが、フッ素樹脂コーティングの寿命を延長させるポイントと言えます。
コーティング加工を行う際、基本的にフッ素樹脂塗料を焼きつけるために400度ほどの熱を加えます。しかしステンレスは300度以上の温度で加熱することで、薄い黄土色に変色することがあるので注意が必要です。
400度以上の熱が加わると、フッ素樹脂は毒性のガスが発生するので注意が必要です。もしガスを吸ってしまえば呼吸障害を引き起こし、環境にも悪影響をきたしてしまうでしょう。火気の取り扱いには十分な注意を払い、もし火気を使う場合にはしっかりと換気しながら、マスクを装着したうえで作業を行ってください。
粉などとの摩擦によって静電気が起こることがあります。可燃性の高い場所で使用すると、静電気によって火花が発生する可能性が高まるので要注意です。容器にアースを取り付ける、導電性のフッ素樹脂コーティングを行うなどの対策を講じましょう。
フッ素樹脂は加熱すると毒ガスが発生するため、もし廃棄したフッ素樹脂が焼却されれば毒ガスが充満する可能性があります。そのため安全型処分場での処分を依頼することが大切です。ただ熱分解生成物を処理できる装置が備わっている焼却施設であれば、フッ素樹脂の焼却処理も問題ありません。もし焼却できない場合には、産業廃棄物として廃棄すると良いでしょう。
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全国のフッ素樹脂コーティング会社を調査し、上の選び方ポイントを踏まえたうえで、全国3拠点以上の事業所(従業員数80名以上)を保有し、またコスト品質納期(QCD)が厳しい自動車業界での実績があり、多種多様なフッ素樹脂コーティングを取り扱う会社3社をピックアップしました。(2021年5月時点調査)