PVC樹脂はビニールの素材として広く使われている樹脂で、製造コストの安さから日常品にも多く採用されています。ここではそんなPVC樹脂のメリット・デメリット、さらにフッ素樹脂との違いについて詳しく解説します。
PVC樹脂は「Poly vinyl chloride」の略称で、「ポリ塩化ビニル」や「ビニール」とも呼ばれます。熱可塑性樹脂の一種で加工しやすく、苛性ソーダを製造する過程で副産物として得られる塩素と、石油由来のエチレンを原料として作られるため、比較的低コストで生産できるのが特徴です。また、プラスチックの中でも石油使用量が少ないことから石油依存度が低く、近年はリサイクル技術の発展によって再利用が進められています。
PVC樹脂は加工の仕方によって手で曲げられるほどの薄く軟らかい軟質PVCとなり、逆に耐久性を高く、厚くできる硬質PVCとなります。加工の仕方によって耐久性を細かく調節できるため、幅広い用途で使われています。またコーティングやディッピング素材としても利便性が高く、ほかの素材と組み合わせて使うことでさらに多くのニーズに応えます。
PVC樹脂はプラスチック樹脂のなかでも汎用性が高く、安価な素材として扱われています。加工のしやすさから大量生産にも向いており、ビニール袋など日用品の素材にも広く採用されています。
薄くて軽く、丈夫なPVC樹脂はビニールハウスの素材としても広く使われています。PVC樹脂単体では紫外線に弱いですが、PVC素材の加工のしやすさを活かしてほかの素材と組み合わせることで、高い耐久力と紫外線耐性を得られます。紫外線対策の処理方法も安定剤の添加から表面コーティングまで幅広く存在するため、用途やコストに合わせた方法を選べるのがメリットとなっています。
PVC樹脂は燃えにくい素材ですが、耐熱性は低く、約80度の温度で変形が起きます。また低温環境にも弱く、-20度ほどで脆化し、破損しやすくなります。火には強く、燃えにくい素材ですが、無理やり燃やした場合、不完全燃焼を引き起こして塩化水素といった有毒ガスを発生します。このため処理の際には注意が必要で、適切な処理が重要となります。
耐酸性、耐アルカリ性、耐油性が高いのがPVC樹脂の特徴で、多くの無機薬品に対して高い耐薬品性を示します。このため医薬品の容器や、化学プラントの配管などに適性を持つ素材となっています。一方で有機溶剤と一部の塩素系化合物、芳香族炭化水素は例外で、これらの薬品には短時間で浸食され、強度を落としてしまうため注意が必要です。
フッ素樹脂は耐熱性・耐薬品性を持つ樹脂素材ですが、加工が難しく、製造の技術的な難易度・コストが高いのがデメリットとなっています。一方で、PVC樹脂は安価で加工がしやすく、大量生産に向いた樹脂素材ですが、フッ素樹脂に比べて耐熱性・耐薬品性は劣ります。このため耐熱性や耐薬品性が重視される場合であればフッ素樹脂が採用され、インフラや日用品など大量に求められるものであればPVC樹脂が選ばれることが多く、用途に応じて使い分けられます。
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