ここではフッ素樹脂コーティングの特性の一つである「すべり性」について解説してます。どんな用途に使えるのか、具体的な事例も交えてその効果について紹介します。
フッ素樹脂コーティングは摩擦係数が低く滑りやすいという性質があります。そもそもフッ素樹脂とはフッ素原子を含むプラスチック原料の総称ですが、C-F結合(炭素とフッ素)の電子の引付けバランスがよく無極性となります。
そのためフッ素と触れる物質との相互作用が小さくなり、それが滑りやすいという特性につながっています。摩擦係数が0.05~0.08で摩擦抵抗がかからないためスティックスリップが起きません。
スティックスリップとは接触面が固着と滑りを繰り返す現象のことで“ビビり”とも表現されます。つまりビビりが起きやすい高荷重で低速度なものにフッ素樹脂コーティングを施すと動きがスムーズになる効果を得られます。
フッ素樹脂コーティングのすべり性を生かせるものとしてまず考えられるのは工業用部品などの摩擦が寿命を左右する分野です。部品の摩擦係数が低くなれば交換頻度が少なくなり、各種製品だけでなく生産ラインの効率化にもなります。
自動車産業はこうしたすべり性を多く求められる業界と言えるでしょう。製造物である自動車において摩擦は温度上昇や燃費の悪化にもつながりますし、最近では電子化されたタッチパネルなどの操作性にも影響します。
また配管など締め付けたり緩めたりする弁をスムーズに動かすためのパッキンに使用したり、 工作機械に組み込まれるレール、ベアリングやワッシャーなどの小型パーツなどオイルが使用できない箇所への応用も考えられます。
金属と樹脂、ゴムが摺動する場合には摩擦力が安定せずに、異音が発生する場合があります。この対策として低摩擦性に優れた固体潤滑剤である、二硫化モリブデン、PTFEを含んだドライ潤滑コーティングを行う事により、摩擦力が安定し異音防止に効果を持たせる事が可能です。同時に固体潤滑剤の働きで耐摩耗性を付与できる機能コーティングとして活用されています。
引用元:日本エムティ株式会社公式ページ
(http://www.n-mt.co.jp/?p=1154)
依頼内容
タイヤの型付け(フォーマー)工程で、仮成形した未加硫ゴムに滑り剤を塗布し、油圧で成形していた。均一にタイヤの型付けが出来ない場合、バランス不良となる。滑り剤は、タイヤにとっては異物であり、使用は避けたいが変わるものがない。
提案内容
液体までの摩擦係数の低減は難しいが、固体の中ではPTFEが一番低μであること、 尚且つブラストとめっきという硬い凹凸をプラスする複合技で提案
結果、滑り剤の使用を2回/日に減少でき、合わせて変形不良も減った。
引用元:タイメットコート株式会社公式ページ
(https://fact-link.com/mem_content.php?pl=jp&mem=00005989&page=00013356#3)
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