PVDC樹脂は食品や薬品の包装材料として利用される合成樹脂です。フッ素樹脂とは異なる特性があり、比較する際に理解しておくことが重要です。本記事ではフッ素樹脂コーティングを検討する際に役立つ情報として、PVDC樹脂のメリット・デメリットとフッ素樹脂との違いについて解説します。
PVDCとは、合成樹脂の一種であるポリ塩化ビニリデンを指します。ガスや水分、酸素を透過しにくいため、長期保存を求められる食品包装に広く活用されています。例として、レトルトパウチ食品・加工肉類・チルドビーフ・魚介類・生菓子などが挙げられます。家庭用ラップの素材としても、PVDC樹脂は広く知られています。
性質としては、エチレンビニルアルコール共重合樹脂と類似点があります。
ガスの透過度が非常に低いPVDC樹脂を利用すると、食品をガスから守るためのガスバリア層の形成が可能です。炭酸ガス・窒素ガス・酸素ガスと3種類のガスの透過を抑えられ、食品や医薬品の品質劣化を防ぎます。
PVDC樹脂には耐油性・耐薬品性・耐熱性・耐水性・耐寒性があり、さまざまな環境下で利用できることもメリットのひとつです。食品の包装として利用すれば、耐寒性・耐熱性が高く、冷凍環境でも性能を維持し、電子レンジでの加熱にも対応する性質があります。
バリア機能が高いものの、湿度依存性が少ないこともメリットであると言えるでしょう。バリア機能を持つ素材の中には、湿度が高くなるとバリア性が低くなってしまうものがあります。しかしPVDC樹脂は湿度の変化に強く、高湿度環境でも不安定になりません。
PVDC樹脂は紫外線や強アルカリによって変色することがあります。食品のレトルト加工包装に使用した後に、茶色もしくは白色に変色する場合があるため注意が必要です。
一般的なポリエチレンなどが熱だけで容易に溶着(ヒートシール)できるのに対し、PVDC樹脂は熱収縮性が高く、きれいにシールするためには高周波シールなどの設備が必要になるケースがあります。加工条件のコントロールが比較的難しい素材です。
製造時の二酸化炭素量が少ないため地球温暖化防止に貢献するとされるPVDC樹脂ですが、焼却すると塩素ガスを発生するというデメリットがあります。塩素ガスは劇物に指定されており、人体への悪影響が懸念される物質です。
フッ素樹脂とPVDC樹脂は、それぞれ得意とする領域が異なります。PVDC樹脂は「ガスバリア性」に特化しており、酸素や湿気を通さないことで食品の保存性を高める用途に適しています。一方、フッ素樹脂は「耐熱性・耐寒性・耐薬品性・非粘着性(くっつきにくさ)」において圧倒的に優れています。PVDCでは対応できない高温環境や、薬品洗浄が必要なライン、物が付着しては困る工程などでフッ素樹脂が選ばれます。
また、フッ素樹脂は物質がくっつきにくい「非粘着性」や「滑り性」を持つため、包装フィルムそのものとしてではなく、製造設備の金型やシューターへのコーティングとして活躍します。
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